25年前の今日、人生で初めて一輪の花とティファニーの指輪を贈った。今思えば馬鹿馬鹿しいくらい重いプレゼントだったと思う。それでも君は顔を綻ばせて涙を流した。
音楽を志し東京にいったけど夢を叶えるどころか僕はその日を生きるので精一杯だった。東京は田舎者には途轍もなく回転が早くてその遠心力で弾き飛ばされそうになるのを必死で耐えた。日雇いのバイトを繰り返し、暗闇のない歓楽街のコンビニで夜のない生活を繰り返した。夜勤明け、サンシャイン通りに積もった雪に朝日が反射する。待ち合わせは池袋西口。
君からのmail 僕は待つ
そしてまた僕は歩き出す
サンシャイン通りの雪を踏みしめて
すれ違う時間と人の群れ
雑踏の中、振り返る人の群れ
背伸びをした あなたを迎えにいく
立ち止まる交差点
携帯に着信あり 君と話してる
加速する車のスピードで
掻き消される「 I love U 」伝わらない
あなたの事 もっともっと好きになってゆく
雑踏の中 振り返る人の群れ
背伸びをした あなたを迎えにいく
君はティファニーの指輪を左薬指にはめた。プロポーズもしてないのに、僕の気持ちを無言で受け止めた君の瞳から涙が落ちる。愛おしくて…その仕草に何だか泣けてきた。ティアドロップの指輪から溢れる鼓動で心臓キュッとなる。
その一瞬、涙がこぼれて落ちるくらいの刹那。
その瞬間を25年後の今、思い出した。
あの一瞬が永遠だったことを知った。
今、君はどうしてるだろう。
僕の街に雪は降らないんだ。
君の住む街はどうですか?
ー happy white Christmas Eve. ー