言葉=記号+音

遠くの山並みに積もる雪がこちらからも見える。空気はとても澄んでいる。遥か西の名も知らぬ山がとても近くに見える。指を伸ばし触れればその凹凸さえ感じるほどに。僕の住む町では雪は残念ながら積もらなかった。40年くらい生きてきて、積もったことは右手…

maruさんのタンジェリンシャーベット体験記

「ヤーイ」という言葉はご存じでしょうか? 皆さんも、Xタイムラインで一度は目にしたことがあるだろう。 名古屋のCBDショップmaruさん発祥のCBD界隈の新しい合言葉である。 意味合い的には、「こんにちわ」とか「調子がいいよ」という意味で、私も使わせて…

GSC/ELIXIR

昨年の秋。黄金の銀杏山でマイメン西郷さんと落ち合った。極楽浄土と思うほど息を呑む光景を目の当たりにした。私は思わず「きっとこの風景は死ぬ前にも思い出すよ」と表現した。この一瞬が永遠に感じられる時の魔法。まるで金貨のような落ち葉を踏み踏み下…

冬の終わり♦︎アラスカ❤︎Sunday morning

瑠璃色をしたオーロラ状の寒気は青いカーテンを開けるようにして去っていった。冬の終わりが近づいている。僕にはそんな気配がする。絶頂の瞬間を知って悲しくなるのは、あとは降(くだ)るだけしかないと悟るからだ。透明で美しい季節が通り過ぎようとしてい…

FORBIDDEN FRUIT/Creams

私の目の前で、他業者の悪口をいうお客様がいる。誰からも相手にされないのだろう。人当たりの柔らかい私に何度も何度も面倒な依頼を繰り返す。私の初動がまずかったのか?お客様の問題を解決したい親切心が仇になってしまった。ただでさえ不安持ちの私。情…

涅槃寂静k★sh/麻枝商店

「先輩、僕、ニルヴァーナだったらIn Uteroが好きなんですよね」 「ケン、俺はIn Uteroは聞けない。カートがぐちゃぐちゃになっていて心が痛いんだ」 1994年4月、世界を席巻したグランジブームのアイコン Nirvanaのカート・コバーンがショットガンで自分の額…

1月のスイマー

気がつけばもう23時。 僕は毛布の中。 眠ることと死ぬ事に境界線はないような気がする就寝前。 柔らかな桃色の夕暮れ。 西に傾いた夕日が街路樹の影を東側に伸ばしてゆく。 ある影は細く。ある影は程々の太さで。 影はお互いに折り合いをつけながら干渉せず…

1998年12月24日 ~あの一瞬が永遠になる~

25年前の今日、人生で初めて一輪の花とティファニーの指輪を贈った。今思えば馬鹿馬鹿しいくらい重いプレゼントだったと思う。それでも君は顔を綻ばせて涙を流した。 音楽を志し東京にいったけど夢を叶えるどころか僕はその日を生きるので精一杯だった。東京…

振られる勇気

アイツは背格好も容姿も僕とそう変わりはない。アイツはチャラいのになぜかモテる。アイツは今日もめかしこんでどこかへ行く。アイツの名はリチャードバック・ジョナサン。僕の古くからの悪友だ。 「ジョナサン、今日もセフレとデートか?相変わらず軽薄なや…

眼科 is Perfect World

人生で一番、目薬を挿した朝。手術の1時間くらい前から10分間隔で抗生剤と散目剤の目薬を挿す。3種類くらいあるのかな?もう10回以上は点眼している。 ゆっくりとした時間が流れている。村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでいる。 手術前診察を受…

透き通る翅(はね)

秋の日差しを受けた桜の木。鉄棒にぶら下がる壮年のように重力に逆らわず数枚、枝に捕まっている。傾いて斜めに差し込む夕暮れがトンボの羽のように透き通っている。翅脈(しみゃく)のあみだ籤(くじ)を巡る。瀟洒(しょうしゃ)で懐かしい黄金の風景がゆるやか…

ライムライトの影を見つめる

夜の帳(とばり)が長く深く垂れ込み始める。頬を撫でる風がまた少し冷たくなってきた。胸に迫る理由のない寂しさ。金木犀の甘い香り。静寂をゆらすレム・ウィンチェスターのヴィブラフォン。どこからともなくやって来て、あてのない闇へと去っていくもの達と…

バターライスタイムマシン

ICU待合室はほの暗い。窓の外の喧騒と看護師の話し声が遠くから聞こえる。看護師の廊下を歩く音だけが耳元で響いている。僕はその待合室の扉が開かれるのが正直怖い。 今朝、親父が緊急搬送された。いつもは煩わしい親父だけど実家の床に張りついて浅い呼吸…

テトペッテンソン♦︎ソルティードック♠︎ポラリス

誰にもいえない恋は異動フラグで終わりの予感。お互いに好きって言わない暗黙のルールを破った翌日。君から「異動するかも」ってメール。もうすぐ君と出会って一年。異動が正式に決まったと聞かされた時、外ではチョコレートも溶けるくらい温かい雨が降った…

セルフロウリュウの罠

清涼な空気と全国でも屈指の湧水の町。セルフロウリュウができる温泉施設があると聞いて先日、彼女と足を伸ばした。 鉄筋コンクリートの重厚感のある建物に入るとがらんと広い空間が開けており、ハンモックや座敷、マッサージチェア。多少の漫画もある。何よ…

車内サウナ体験記

良いことを思いついた コロナショック前は週1から2で通い詰めていたほど、サウナを愛していた私が燃えるゴミを出そうと車に入った瞬間に閃いた。 これ、完全に、サウナやん いつもは車に入るなり暑い暑いと言っていたくせに、サウナと思い始めた途端にまだま…

夏の使者になる。

風にさざめく街路樹のトンネルの下。東に向かって小径(こみち)を車で走る。夏の木漏れ日は過ぎ去っていった懐かしく美しい日々を思い起こさせた。道ですれ違う車窓の中、不意に見かけたあの人の名前も今は忘れてしまった。面影が名前を失って彷徨っている。…

続・エロ本を売る無能の人。

午前3時。携帯が突如痙攣した。携帯が壊れていないか確認する。寝ぼけ眼にブルーライトがしみる。まるで空きっ腹にウィスキーを流し込んだみたいな焼けつく様な感じだ。 某フリマサイトから出品停止お知らせが20件以上届いていた。どうやら私は利用停止処分…

エロ本を売る無能の人。

病に伏した彼女のお母さんは、もうアパートで生活する体力がない。腰痛持ちのお父さんがようやく文字通りの重い腰を上げ引越しを決意した。お付き合い以来、見せられる部屋でないと言われ一度も拝見したことのない部屋。お父さんの書籍がこのアパートの柱じ…

Blind Melon

連休も最後の一日。休みのはずが休みすぎて休む事に疲れている。リズムよく生きる事がどれほど楽か。自動操縦。思考停止。平日は尊い。 有り余る時間で新しい季節を迎える準備をした。毛布を圧縮袋につめて真空パックにしたし、エアコンの埃を掃除機で吸って…

Dragon castle in a convenience store

竜宮城はあるか?と聞かれたら僕はあるかもしれないと答えるだろう。二十代前半から後半まで夜勤のアルバイトをしていた。某コンビニが僕にとってはそうだった。 前職が割と厳しい社風だったので、あまり縛られない仕事がしたかった。学生時代にコンビニの夜…

マインクラフト♦︎相対性理論♠︎コロンビア

僕は、もがいていた。今もそれにあまり変わりはないが考え方が変わった。それはリチャードバック・ジョナサンに出会ったからだ。それ以来、今の状況を楽しんでいたり出来るようになった。 ある時、リチャードバック•ジョナサンはこう言った。 「おいおい、ま…

昭和の遺産★エロ本自販機❤︎シッカロール

先日、サブカル好きな友人Nさんの頼みで郊外へ車を走らせていたら、昭和の遺産というべき「エロ本自販機」を発見した。 今みたいに簡単に性的媒体にアクセス出来ない頃に学生時代だった40代中年諸君にとっては非常にノスタルジーを禁じ得ないだろう。 当時は…

デート商法体験記

これは僕が二十歳を過ぎた頃に経験したデート商法という詐欺の話だ。あまりにもダサい話なので文章だけはカッコつけさせてもらった。 二十歳で夢と彼女を東京に置いてきた。学校も碌に通わず、遊びとバイトを繰り返し、その日暮らしをしていたら両親からアパ…